みなとメディアミュージアム実行委員会、チーフキュレーター橋口静思です。

8月19日にみなとメディアミュージアム2017の湊公園における展示作品、田中真帆「気持ちの良い風 / あなたのためにあけておいた穴」の展示場所を、湊公園から恵愛小林クリニックに移動しました。以下に簡単な経緯を記します。

 

8月中旬、湊公園を管理しているひたちなか市公園緑地課に、「作品が卑猥に見える可能性があり、教育に悪影響があるので、公園から作品を移動してほしい」という内容の連絡がありました。 公園緑地課からは不特定の人が訪れる場所なので、移設という形で対処して欲しい、という意見をいただきました。私どもみなとメディアミュージアムは、本件について協議を重ね、公共の場である公園をお借りして展示していることを考慮し、作品の移設を作者である田中さんと相談しました。この件に関して、私どもの意図を明らかにしたいと思います。

 

まず、作家ならびに私どもの意図する内容を説明するために、田中さんの作品のステイトメント(作品意図)をご紹介します。

 

人と関係していくことについてずっと考えている。私たちは本来的にわかり合うことは出来ないのかもしれない。しかし、コミュニュケーションの不可能性が生むのは断絶ではなく、相手をわかろうとすること、受け入れられ、受け入れること、離れること、寄り添うこと、その継続だ。 人との関係の形は、そのようにして人々が対峙した痕跡のように思う。そして、粘土の形もまた、そういったやりとりの痕跡のもとで生まれる。(中略)湊公園は高台にあって海や町がよく見える。夏の暑い日でも風通しが良く、よく手入れされた古い家のような心地良さがある。時々犬の散歩にやってくる人がいるけど大抵は静かで、公園そのものが大らかに昼寝しているようだ。(一部抜粋) 

 

私どもみなとメディアミュージアムでは、この作品の意図を最大限尊重するために、作品の移設には当初反対の立場を取りました。作品から様々な意見が生まれることは自然なことだと思います。ただ、本作が性的な表現のみを意図してはおらず、これについては、いらしていただいた方と、作家、そしてスタッフがお互い意見を交わすことで理解が深まり、新しい考え方を産み出すことができると思っています。作品からも、作家自身が那珂湊やここを訪れる人たちとともに過ごし、そこで人々や場所と関わるという意思が伝わってきます。

 

今回のみなとメディアミュージアムのテーマは「対峙したあと」です。これは実行委員会である複数の学生たちの合議によって決まりました。その意味は、鑑賞していただいているみなさま、参加作家、さらには私どもスタッフが、それぞれの立場でコミュニケーションをとりつつ、新たな関係を築くために対峙することだと思います。

会場には、青いTシャツを着たスタッフがおります。引き続き、 作品や展示、場を通じてみなさまと対峙できることをこころより願っています。

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