MMM2020→2021受賞作品

みなとメディアミュージアム2020→2021大賞
まちづくり3710実行委員会賞 『神話行列〜降臨道中〜』

撮影:小佐原孝幸

・エコツミ・
神話を歌うアーティスト。早稲田大学卒。神社検定1級。 歌と舞を用い、日本神話を再構築した歌劇「新訳古事記シリーズ」を展開。フランス、リトアニア単独公演をはじめ、世界各国でコンサート公演を行う。コラボレーション作品では北九州デジタルクリエーターコンテストを受賞。自身の映像がベルリン「WomenCinemakers Biennial2018」に選出される。
作品講評

コロナ禍によってさまざまな活動が制限されるなか、元町みろくをはじめとした地域住民を主体的に巻き込み、しばらく忘れかけていた興奮とともにアートが持つ力の可能性を見ることができたという点において「語りうる可能性」が拡げられていたものであると評価し、MMM2020→2021の大賞受賞作品に選出しました。
日本神話というモチーフを現実離れさせることなく、日常的な物語行為に落とし込むための、地域住民との綿密な練習は、単に技術的な向上だけでなく新たな繋がりをも構築するものでした。パフォーマンス終了後に参加した皆さんが物語った言葉たちは・エコツミ・さんのパフォーマンスによって生まれた繋がりの現れといえるでしょう。
「・エコツミ・さんが歌い始めたときに、自然と、涙がスーッと出てきたんです。」「レッドカーペットの上を歩いているような気持ちで歩きました。」「この場にいられて本当に嬉しかったです。」
この土地に住まう人たちの口や身体や声を通して、神々たちが顕現するという身体知的アプローチはまさに、地域住民・彼ら・彼女ら・そして私たちにとっての「語りうる可能性」を拡大させていくことでもあり、アーティストたる・エコツミ・さんの「語りうる可能性」をこの場でしか表現し得ない、ただ一度きりのハレの顕在化として確立させることに役立っています。
私たちは日々どこかで祈り、期待し、落ち込んで、ケである日常の紡ぎの中に生きています。ケである日常に堆積していく断片たちをアートというメディウムが緩やかに繋ぎ合わせ、日常では響きにくい声と言葉をパフォーマンスを通した神話作用によって外在化させたことは、我々みなとメディアミュージアムが目指すものと強く響き合います。

「アートにふれることなくしては出会うことのできなかったヒト・モノとのつながりによって、新たな地域の資産を、あるいは形としては残らずとも価値のある経験や体験を生み出すことを目指します。」
・エコツミ・さんのパフォーマンスによって、「あのときこんなことがあったよね」「あのときのこと、覚えてる?」と、那珂湊に住まう人たちや私たちがいつか思い出し語りうる可能性の大きな種を、豊かな響きとともに撒いていただいたことを、みなとメディアミュージアム実行委員会一同は誇らしく感じています。(みなとメディアミュージアム2020→2021実行委員会評)

審査員特別賞 『隣の景色』

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撮影:小佐原孝幸

澁木智宏
1986年北海道小樽市生まれ。
武蔵野美術大学卒業。
[近年の展覧会] 2017年 個展「線分」/クラークギャラリー+SHIFT 2019年 個展「WOOLD」/CIBONE 2020年「Denchulabo2019」/旧平櫛田中邸 2021年「UNMANNED 無人駅の芸術祭/大井川」
作品講評

日常の風景に優しく作品が浸透し、乗車した多様な人たちへ語りかけるコミュニケーションの可能性を提示する作品だと感じました。誰かと誰かの言葉のリレーの末にバトンを鑑賞者に譲渡し、もし(if)自分ならと心の扉を開き、「もしもし」とまた誰かに言葉を紡いでいく…作品の構成要素はシンプルでありながらも、その受け取り方や感じ方は多様で、また鑑賞する状態や状況によっても様々に変化する非常に豊かな鑑賞体験を得ることができると感じました。
また、公共空間であることを前提とし、誰のことも脅かさない(作品の視認性やフォントのバランス等も配慮した)絶妙な空間の設計にも優れた目配りと気遣いを感じます。また、一時的閉鎖空間に不特定多数の様々な人が場所を共有する車両という特質上、如何に乗車する隣人への配慮や気遣いを間接的に生み出すかという点においても、ある種緊急性を持った昨今の社会問題への応答と捉えることもでき、そのオリジナリティあるアイデアの汎用性や拡張性に期待が膨らみます。また、エコツミさんの街に伝わる古来の伝承を受け継いだ表現と比較し、個人の物語(それは無意識的・感覚的・断片的であったりする)をつむぎながら、ある種誤訳と誤解を重ねながらも信頼をおいて対話を続けている様が、人間の営為の縮図のように思います。またそれは出発点として不完全性を受容し語り手を包摂する意味としても捉えます。

意図せずとも作品が様々な人の目に留まり心の琴線に触れ、語りうる可能性を匿名ではない各個人へと委ね、射程を広げ創造性の豊かさに貢献している点に高く評価します。(小國陽佑評/NPO法人芸法代表)

常磐大学M4賞 『《話を振る》』ほか3作品

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撮影:小佐原孝幸

廣野鮎美
アーティスト。
1996年兵庫県生まれ。2019年成安造形大学芸術学部芸術学科美術領域現代アートコース卒業。映像、パフォーマンス、絵画、写真など、手法を限定せずに制作を行う。

作品講評

童心に帰るような作者のまなざしと身体感覚から那珂湊を捉えた作品。
来訪者を迎えるカラス、白鳥との会話、石蹴り遊び……てらいのない瑞々しい感性が、多種多様なメディア(ポスター、Map、本、液晶ディスプレイ、プロジェクター、石ころ)と空間構成によって、技巧的に表現されている点も興味深い。スピーカーのサイズ感と床面への設置が的確だったためか、石ころを蹴飛ばす音も妙にリアルに感じられた。
そういった意味では、那珂湊という地域を、「メディア」「モダリティ」「自らの足」異なる3つの視座から横断して構築した作品とも言える。 (小佐原孝幸評/常磐大学助教)

ひたちなか小売商業経営研究会賞 『那珂湊で働く人々を描く』

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撮影:小佐原孝幸

君嶋海裕
アーティスト。
ものつくり大学技能工芸学部建築学科卒業。
2019年からMMMに参加。
作品講評

ひたちなか小売商業経営研究会は、地域で商売をしておりまして、経営の勉強や町おこしなどをメインに行なっている組織となっています。そこで、今回は君嶋さんの「那珂湊で働く人を描く」を受賞作品として選ばせていただきました。「那珂湊のいろんなお店の沢山の人に足を運んで欲しい」という君嶋さんのこの絵への想いが決定理由となります。(川崎達也評/ひたちなか小売商業経営研究会会長)

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