作品損壊への対応 と 作家・共同代表の声明

去る8月24日(土)23時頃に、湊公園に展示されていたMMM2019出展作家の佐々木 樹 / Miki SASAKIの作品《Material poetry》ー〈Topographic flags〉|NAKAMINATO / high school(2019)が何者かによって破壊されていることを発見いたしました。

当団体としては、本件について極めて遺憾であり、現在刑事ならび民事での告訴を準備中です。

本件について、作家の佐々木樹氏ならびに第一発見者であり共同代表の山口恵里佳のコメントを頂いています。

「私は憤っています。ゆえ、当事者は直ちに私に報告せよ。」

佐々木 樹 / Miki SASAKI

以下、私事より拡大につき。
詩人/美術家の佐々木樹です。
この度、出展させていただいているみなとメディアミュージアムの会期中に私の作品が人為的な手段を用いて破損されているのが見つかったとの報告がありました。
いささかの疑いを持ちつつ当該作品の確認を致しましたが、一目でわかる意図的な痕跡がありました。(作品を踏みつけた足跡など)
正直なところ、私は那珂湊の土地を借り、MMMの力を借りて本展における作品の制作をしたので、その地域にとって適切なものであったかは計りかねます。ただ、私は本展に関わり、地域芸術とは何かまた地域における私にできる適切な表現について限りなく考え、決して地域の環境を崩さないようなやり方を模索し表現をしたつもりです。
ただ、その突き詰めをした後でも、本件に見られるように那珂湊に暮らす人々の生活世界のバランスを脅かしてしまった結果に結びついたこと、または彼らのような異物に対して敏感な人々の心を左右してしまったことに対して深い悩みを私自身抱いています。
ゆえ、地域における良い側面だけでなく、こうした側面も受け入れてこれから活動していくためにも、作品の破損を行なった当事者の方々とはしっかりお話をしたいと思っています。
現在、刑事告訴の段取りを進めていますが、本来であればそうしたことは私はやりたくはありません。仮に当事者たちが排除の構造に立たされてしまった人々なのであれば、彼らを救うための一つのきっかけにしたく思っています。(もちろん、排除の構造にいない人々の行為の可能性も強くありますが)
なぜなら私たち美術家も排除の構造に巻き込まれやすい人々だからです。我々には作品という盾がありますが、今回の行為における当事者の人々はそうした盾のない無防備な状態と感じています。
彼らに盾を与えるきっかけとなるためにも、今回の一件が野放しにされないことを強く願うばかりです。こうした言い回しを読むと私が優しく包み込む人間だと思う方も少なからずいるかと思いますが、はっきりと言い残したいと思います。”「私は憤っています。ゆえ、当事者は直ちに私に報告せよ。」”

  

怒りでも悲しみでも表せない感情が生じてしまったことについて

山口 恵里佳

私は、実行委員である立場上湊公園高台に作品を確認しに向かう際には、霧吹きの水量や雨風などの自然の影響で問題が生じていないかの確認を目的としています。当時湊公園高台に向かうにあたり、日中に巡回した際には作品に問題がなかったという事実と、天候の良さを踏まえて、当然、佐々木さんの作品は本来の姿で建っていると思っていました。そのため作品が壊されていたという事実は、心苦しいものでした。

しかしながら、わたしがこの文章を書く理由はそういった立場であるからという理由だけではありません。関わりゆく多くの鑑賞者(特にその側面で私は)佐々木さんの作品の変化、例えば日に日に剥がれていく様子や、色のあせ方の変化、水量の変化などを楽しみにしていたと思っています。また、私は佐々木さんの制作に直接関わった人間でもあるので、微量かもしれませんが佐々木さんの作品に対する配慮を知っているつもりでもありました。そして、壊された旗が立っていた場所性、言うなれば誰でも訪れることができるゆえに、11年間MMMを続けてきても存在が届かなかった那珂湊の人への入り口になり得るような、同時に、アートと全く関わりのない人へ、作品を知ってもらうきっかけになる場所という点にとても期待をしていました。

だからこそ第一発見者として人為的に壊された作品を、湊公園で、目にした時、怒りでも悲しみでも表せない感情が生じました。この感情を誰が作ったのでしょうか。私にはわかりませんが、当事者には分かることなのだろうと推測します。当事者、あるいは我々の場合には鑑賞者の意見を拾うために、実行委員はあります。今回における当事者の意見を救えない限り、私たちはずっと那珂湊に取り残されてしまう危機感があります。それを払拭するためにも、明らかにすべきものを見たいと考えています。

今後の対応について

刑事告訴に至るまでに、加害者への告白期間を設けたいと思います。期限は会期終了予定日時の8月31日の16時までとします。下記の連絡先にご報告ください。連絡ならびその連絡に誠意がない場合、刑事告訴の段取りを踏む所存です。

連絡先: minato.media.museum@gmail.com

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